概要

このページでは、CRISIS の各機能を危機対応のフェーズに沿って組み合わせる運用モデルを説明します。個々の機能の操作手順ではなく、組織全体としての活用方法を対象とします。

フェーズ0: 平時 — 備えを仕組みにする

危機対応の質は、平時の準備に大きく左右されます。

  • フォームテンプレートの整備: 安否確認・被害報告・出社可否など、使う帳票を先に作成しておきます
  • オペレーションブックの整備: BCP・対応マニュアルを実行可能な手順に落とします。
  • ワークフローの整備: 覚知と初動を自動化し、深夜・休日の空白をなくします。
  • 訓練: 訓練(DRILL)モードで年に数回、通知受信から報告書発行までを一連の流れで実施します。訓練で見つかった不足は、テンプレートの改善に反映します。

フェーズ1: 覚知 — 覚知とインシデント作成

地震・警報などの覚知では、ワークフローがインシデントの自動作成とオペレーションブックの起動まで行います。原因情報(電文)はイベントとしてインシデントに記録されていきます。

システム障害や事故など自動化できない事象は、気づいた人が手動で作成します。「判断に迷う場合はインシデントを作成する」を組織のルールとします。空振りのインシデントはクローズできますが、作成の遅れは取り戻せません。

フェーズ2: 体制確立 — 誰が指揮するかを明示する

  • 対策本部情報を設定し、本部名・本部長・場所を明示します。指揮系統を全員が参照できる状態にします。
  • オペレーションブックの初動アクションへの応答(acknowledge)で、参集できる要員を把握します。
  • 状況の深刻度に応じて重要度を設定・変更し、体制の段階を切り替えます。

フェーズ3: 情報収集 — フォームによる情報収集

  • フォームで安否・被害状況を収集し、自動集計で全体像を把握します。
  • 未回答者にはリマインドを送り、反応がない場合は別手段での確認に切り替えます。
  • 気象台・自治体との受発信、本部の設置・指示などの動きはクロノロジーに蓄積されます(自動記録+手動記録)。

フェーズ4: 判断と指示 — 決定を記録に残す

  • 本部の決定事項・全員が参照すべき情報はノートにまとめ、重要なものはハイライトします。
  • 追加の対応はタスクの追加で割り当て、ステータスで進捗を追跡します。

フェーズ5: 共有 — 報告書の自動生成

対応状況報告書を定期発行に設定すると、対応状況をまとめた報告書が自動生成されます。本部要員が報告資料の作成に時間を割く必要がなくなります。

フェーズ6: 収束と検証 — 事後検証と改善

  • 繰り返し設定になっているスケジュールを停止し、ステータスをクローズします(理由も記録します)。
  • イベント・クロノロジー・レポートをもとに事後検証を行い、「追加したアクション」「機能しなかった手順」「遅れた判断」をテンプレートとワークフローに反映します。

広域災害では: インシデントグループ

台風や広域地震のように複数拠点・複数会社が同時に影響を受ける事象では、拠点・子会社ごとにインシデントを立て、インシデントグループで束ねます。拠点は個々のインシデントに集中し、全社本部はグループで横断的に状況を把握する役割分担が可能です。

段階的な導入

このモデルを最初からすべて実装する必要はありません。推奨する順序は (1) 安否確認フォーム+訓練、(2) 主要ハザードのワークフロー、(3) オペレーションブック、(4) 報告書の定期発行、です。各段階で訓練を実施し、組織への定着を確認してから次のステップに進みます。