概要
オペレーションブックは、危機発生時の対応手順書をデジタル化し、そのまま実行・進捗管理できるようにしたものです。紙のマニュアルやBCP文書との最大の違いは、手順の参照にとどまらず担当への通知・応答・進捗管理を一体で実行できる点です。
- 手順の各ステップがアクションとして担当者・担当グループに通知される
- 担当者の応答(確認)と進捗がリアルタイムに集約される
- 実行の記録がインシデントに残り、事後検証に使える
紙のマニュアルの課題
多くの組織の危機対応マニュアルには、共通する課題があります。
- 発災時にマニュアルの置き場所・最新版が分からない
- 担当者が明示されておらず、着手されたかどうかを本部が把握できない
- 状況の深刻度によって手順が変わるのに、分岐が読み取りにくい
- 実施した記録が残らず、検証・改善につながらない
オペレーションブックは、「割り当て」「応答」「ステータス」「重要度」の仕組みによって、これらの課題に対応します。
構成要素
| 要素 | 説明 |
|---|---|
| オペレーションブック | 1つの事象類型(例: 地震対応、システム障害対応)に対する手順の集合 |
| 重要度(Severity) | 対応レベルの段階(例: レベル1〜3)。深刻度に応じて実行するアクションを切り替えます |
| アクション | 手順中の1ステップ。担当・優先度・実施場所などを持ちます |
| タスク | アクションを構成する個別の作業。担当者と期限を持ちます |
| スケジュール | 定時報告などの繰り返し実行の定義 |
アクションには2つの種類があります。
- タスクアクション: 「非常用電源の起動」「対策本部の設置」のような作業の実行
- フォーム配信アクション: 「安否確認の配信」のようなフォームによる情報収集
テンプレートとインスタンス
オペレーションブックは、平時にテンプレートとして整備し、インシデント発生時にインシデント上で 起動(インスタンス化) して使います。
起動されたオペレーションブックはインシデントの一部として動きます。アクション・タスクの進捗や応答の記録はインシデントの対応記録に含まれ、状況に応じてアクションを追加・変更しても元のテンプレートには影響しません。逆に、対応の中で得た改善点はテンプレートに反映することで、次の危機のときに改善した手順を実行できます。
既存のBCP・マニュアルからの移行
最初から完璧なオペレーションブックを作る必要はありません。既存マニュアルの「発災直後1時間の手順」だけを移し替えて訓練で使ってみる、という小さな単位から始めることを推奨します。